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April 25, 2005

九代正蔵襲名披露興行

池袋演芸場に、こぶ平改メ九代林家正蔵の襲名披露興行を見に行ってきた。
この襲名披露興行、上野鈴本の3月下席を皮切りに、新宿、浅草と続いて、今回の池袋演芸場4月下席でひと区切り。
しばらく続いているから、適当なところで見に行けばいいだろ、と思っているうちに、もう池袋での興行。なんといっても大名跡の世紀の襲名披露、やはり一度は見ておかないと、という思いで、ようやく腰を上げた。

さて、開演が1時からの昼の部、開場時刻の12時半に会場に着いたら、すでに当日券を求める客が長い列を作っている。
いやー。もう少し早く来ればよかったな。案の定、チケット売り場では、立ち見になりますがいいですか、と念を押される。
仕方ないでしょう。明日はちょっと、午後に用事が入ってしまったし、これを見逃すと、もう東京の寄席でお披露目を見る機会を逸する。
ようやくチケットを買って、地下二階の演芸場に入ると、すでに客席は満員。両脇の通路と最後列のその後ろに補助椅子を出しても、まだ客が入りきらない。
押され押されて会場の真ん中、壁を背にするかたちで落ち着いた。
さて開演。
前座は木久蔵門下、ひろ木さん。まじめそうな好青年だ。
続いて、その木久蔵師の息子である、林家きくお。曰く、落語界の二世、三世にはAチームとBチームがあって、Aチームには、今は亡き志ん朝師に、柳家花緑、上方の桂小米朝など。このAチームの特徴は、落語のためなら命も捨てる。
そしてBチームは、きくおさんをはじめとして、林家こぶ平、いっ平兄弟など。このBチームは、バラエティーグループ。特徴は命のためなら落語は捨てる、のだとか。ところが、今回の正蔵襲名で、こぶ平さんがAチームに異動してしまう、なんてことを言っておりましたが。そんなきくおさんのネタは「後生鰻」。
林家種平さん、太神楽の翁家勝丸さん、林家鉄平さんと続いて、新正蔵の弟、林家いっ平さん。
まくらでお兄さんをいじるようなことを言っていると、突然その新正蔵本人が舞台に登場!背後からいっ平を丸めたござでぶっ叩く。さっきはまだ来ていなかったのに、といっ平師。不意の登場に、会場からは「九代目!」「林家!」の掛け声。
この「林家!」って掛け声は、かっこいいすね。
いっ平さんのネタは「紀州」。
春風亭一朝さんの落語を挟んで、林家二楽さんの紙切り。
二楽さんが、いつものように客席に何を切ってほしいか注文を募ると、九代目正蔵という声。今回のお披露目では、結構、この注文は多いんじゃないでしょうか。遠目にはそれなりに似てたような。
続いて、春風亭小朝さんの落語。小朝さんは、今回の正蔵襲名の仕掛け人でしょう。
トリに新正蔵が出演するが、今日のお客さんは寄席の開場からずっと聞いているので、ペース配分を考えないとトリに始まる前に疲れてしまう。正蔵は大ネタを用意しているようなので、トリ前の円蔵、木久蔵両師の高座は適当に気を抜いて聞くように(意訳)、なんていうことを小朝師。
かく言う小朝師も、古典のネタではなく、居酒屋に入った一見の客と主人のカウンター越しの会話をさらりと。
しかしこれが、他のどの師匠の古典よりも落語的な感じがして、上手くて面白いんだ。
すでにどこかで酒が入っているらしいカウンターの客が、このごろの音楽の歌詞は何を言っているかよくわからないねえ、と主人に愚痴りながら、浜崎あゆみや平井賢の歌詞を俎上に載せる。小林稔侍とオレンジレンジを取り違えてみせたかと思えば、沖縄出身の歌手といえば仲曽根美樹(誰だ?)しか知らないよと縦横無尽。
最近の歌ネタを出しても、どうしても年齢層が高めの寄席の客にちゃんと分かるようにアピールしている。
なんだか小朝さんの時間だけ、ごく自然に落語の濃度が違うというか、大げさにいうと、ほかと別の次元の空間になっているような、そんな感じがして唸った。
ここで仲入り、私の話もいったん休憩します。

投稿者 hiraking : 07:32 AM | コメント (0)

April 24, 2005

君こそつくしだ!

川柳つくしの「君こそつくしだ!」という落語会を見に行ってきた。
会場は、なかの芸能小劇場。この場所は初めてだ。いつからあるのだろう。
だいたい、中野駅で降りるのも久しぶりで、学生のころ、1年間だけ中野駅を使って通学していたのだが、そのときはこんな施設はなかった。
もっとも、ぼくが中野駅を使っていたのは、今から10年も前の話だ。

川柳つくしは、川柳川柳門下の二ツ目。入門から8年という。
この人の落語は、以前、末広亭の深夜寄席で聞いたことがある。OL同士の会話で、お局さん的な先輩OLが同僚の男性からプロポーズされたと勝手に勘違いしている内容の新作落語だった。
正直言って、ぼくは深夜寄席で二ツ目さんたちが自作の新作を演じるのを聞いて、あまり感心したことがないのだが(古典を自分なりに壊すのは好き)、そのときのつくしさんの噺は、結構好感を持って聞いた。
しばらく前に、お江戸両国亭でつくしさんも出る新作の会があったのだが、ちょっと用事で見逃してしまい、別の機会を探していたのだ。
さて、ビルの2階の会場に入ると、客席数100人ほどの小さなホール。池袋演芸場を縦長にしたような感じだろうか。
客層は微妙だなあ。年齢層は高め。開演時間が遅めのせいか、サラリーマンらしいスーツ姿の男性も目立つ。
今回は川柳つくし一人しか出ないらしいし、こういうところに来るのは、演芸マニアなのか、つくしファンなのか。
正体不明の怪しい容貌の男連れが、通路を挟んでぼくのとなりの席に座った。一見してすでに怪しいのだが、落語の最中にぼそぼそ喋ったり、浅田飴?の缶をカラカラいわせて飴をなめていたり、かなり迷惑で気持ち悪い野郎どもだった。
開演時刻には、3割程度の座席は埋まっていたように思う(と書くと少ないようだが、それくらい来ていれば、それなりに客が入っているように見えるものだ)。
舞台の上に高座をしつらえて、座布団が敷いてある。
定刻から5分ほど過ぎて、川柳つくし登場。
これまでの自分のソロライブの経緯などをひとくさり喋ってから、一席目は、つくしさんが昔、初めて作った新作落語を口演。
三遊亭円丈師が、処女作の中にその落語家の方向性があると言ったという。
つくしさんの処女作という、その新作落語は、ある会社のOLが取引先の(気持ち悪い)男性社員から一方的に好意を持たれて、会社にラブレターをを送ってきたり、返事が来ないとなると、会社の受付にやってきたりと、付きまとわれてしまうという、つくしさん曰く、プチスト(プチ・ストーカーの略)のお話。
つくしさん自身、学校を出てからOLの経験もあるそうで、この噺も自分の実体験を基に作ったそうだ。だから、つくしさんのキャラと、噺の中に出てくるOLのキャラが、どうしても重なる。
よくはまっていると言えるし、逆にいえば、そこに限界があるのかなとも思う。
二席目は一転、高座をとっぱらって、舞台に机と椅子を置き、つくしさんも洋服姿に着替えて登場(ただしよく見ると足袋履きだ)。落語ではなく、コントという趣向。
男にだまされ続けた女が、生まれ変わった自分宛にメモを残そう、という話。
悪くはないけど、舞台が暗転して、え、もうこれで終わり?という物足りない感じもある。もう一本くらい、この調子でコントがあってもよかったのでは。
それに、着物姿の新作落語2本の間に洋装でのコントを挟むという構成だから、衣装換えで暗転している時間がちょっと長い。
つくしさんの一人舞台だから、他に誰も間を繋いでくれる人もいないのだが、例えば、スライドの映写をもっと上手く使うとか、構成自体をもう少し考えるとか、何かやりようがありそうなものだが。
舞台を暗くして、その間渋いブルーズを流す(多分、つくしさんの趣味なんだと思う)のも悪くはないけど、ちょっと重たすぎるのではないか。
さて三席目は、再び舞台に高座を用意して、新作落語。
今度はOLではなくて、つくしさんの実年齢と同じ(かな?)34歳の主婦を主人公にしたお話。時計をちゃんと見ていなかったけど、1時間近い熱演ではなかったか。
よく練ってあって、途中で一瞬サゲが見えたかなと思ったけど、落語的にきれいに落ちた。
ただ、今これを書いていてふと思ったのだが、その奥さん、二十歳でナンパされてダンナと付き合い始めて、いつ結婚したのかわからないけど、子供はいないようだ。
倹約生活のグチを結婚相談所でぶちまけるくだりはよかったけれど、いくらダンナの給料が安いとはいえ、子供なしで自分もパートに出ているのに、そこまで切り詰める必要があるのだろうか。
ある部分でディティールを出しているのに、別の部分のディティールが抜け落ちている。自分のキャラと重ねるやり方で噺にリアリティーを出す方法が、微妙にズレているのではないか。
まあ、噺を聞いている最中はそこまで考えなかったんですけどね。
いろいろ書いてしまったが、今回、つくしさんの新作をたっぷり聞いて、どの噺も、いわばSF的な構成だとか、ガジェットが鍵になっているのは、新鮮な感じがした。一席目の落ちも、ちょっとホラーっぽいしね。
だから、OLとか自分のキャラに限定されずに、SFっぽい道具立てを使ったつくしさんの新作をもっと聞いてみたいと思ったのだが、どうだろうか。

つくし情報
http://www.tsukushi-info.net/

投稿者 hiraking : 01:51 PM | コメント (0)

April 23, 2005

池袋から

すごい行列だ
投稿者 yhiraki : 12:35 PM | コメント (0) | ブログ演芸

April 19, 2005

たまとの遭遇

いやはや。
いろいろと覚え書きをしておこうと思うことはあるのだけど、あたふたと毎日を過ごしているうちに、順番がどんどん後のほうに後のほうに下がっていってしまう。
前回のお話は、巌谷國士講演会の本題に入りかかったところで終わっているけど、瀧口展の会期自体がもうとっくに終わっているじゃないですか。

あまりにタイミングを逸しすぎてしまったので、講演会の話は、また折をみて続けることにして(その折はいつ来ることやら)、しばらくは、時系列を無視して、思いついた話から書いていくことにする。
落語協会の二階に「東西若手三人会」というのに行ってきた。
若手三人というのは、東京から三遊亭歌彦、鈴々舎わか馬。そして上方から笑福亭たま。
この笑福亭たまという人、一度、生で見てみたいと思ってたんだ。
なるほどなるほど。さすが、世評の高いことはある。期待にたがわず、笑わせてもらった。
例えば、今回競演した、鈴々舎わか馬さん。ぼくはこの人は前から結構好きで、若いのに落ち着いていて、すごく品のある噺家さんですね。まるで、大店の若旦那みたい。
このわか馬さんが、落語の中に笑いを織り混ぜてやっているとしたら、たまさんは、落語を使って笑いをやっている、とでも言えばよいのか。
むろん、さすがはわか馬さんで、たまさんの後の高座はやりにくかったんじゃないかと思うけど、たまさんのクセ球をうまくあしらっていた。
が、笑いと落語のバランス(この二つをこのように対応させてよいのか、よくわからないけど)が、かなり違うように感じたのも、正直なところだ。
今回、たまさんは2本とも古典を演ったけれど、たまさんの中では、古典と新作という境も、軽く飛び越えているように見える。
やはり、落語、よりも、笑い、が前面に出ているせいだろうか。
もう少し別の言い方をすると、資本の回転率、資本効率が違うというかな。
ショート落語だの、落ちを最初に言う小話だの、落語の予告編だの、次々にいろんな手わざを出してきて、とにかく落語という資本を貪欲に回転させている感じだ。
ぼくは大阪で落語を聞いたことがないので、あまり偉そうに言えた義理ではないのだが、大阪の若い噺家さんたちのほうが、東京の同世代の人よりも、シビアに笑いを求められる環境にあるんだろうな、とは思う。
それに、今のところ、大阪には常打ちの寄席がないし。
そりゃあ、東京だって、寄席があるといっても、前座、二つ目の人たちの出演する機会は限られているのだろうけど、落語ができる場がそこにあるというだけでも、東京の噺家さんの心理的な安定感は大きいのではないか。
逆にいうと、ひょっとして上方の若い噺家さんのほうが、落語をすることの切迫感、切実さというのがあるのかなと思う(これは、東京でも、寄席の出演のない立川流の人たちもそうなのかな)。
たまさんの1席目は、七度狐。伊勢参りの旅人が道中、狐に化かされる話。
プログラムではお楽しみとなっていた2席目は、新作2作とどっちがいいか客に拍手で決めさせて、結果、古典の、池田の猪買い。
上方落語初心者のぼくには、どちらも初めて聞くネタだったけど、きっと、両方ともかなりいじってあるんだろう。
ただ、たまさんも自分で言っていたけど、池田の猪買いのほうは、もう少し、いじりがいがあったのかな。結構、普通にサゲていた。こうなると、本人がどちらかというとやりたそうだった新作のほうを聞いてみたかった気もする。
でも、普段、上方のネタって、あまり耳にする機会がないから、思わず古典のほうに手を叩いちゃったんだよね。
見台や膝隠しといった上方落語独特の小道具や、ハメもの(噺の途中で入る鳴り物)を、ごく間近で見聞きできたのも新鮮だった。
たまさんは、今年の6、8、10月の3回、東京で会をやるそうだから(しかも会場はお江戸両国亭だ)、こっそり覗いてみようかと思っている。

笑福亭たま 公式ホームページ「らくごの玉手箱」
http://studio-abby.com/tama/

投稿者 hiraking : 12:34 AM | コメント (0)

April 04, 2005

巖谷國士講演会

世田谷美術館の瀧口修造展の関連企画で、巖谷國士の講演があるというので出かけてきた。
当日、講演は2時から開始というのに、用賀の駅に着いたらもう1時半を回っている。
これはだいぶ急がないと間に合わないな、と思いつつ、ふと見ると、美術館行きのバス停に人がだいぶ並んでいる。今までバスに乗って行ったことはないけど、これだけ人が並んでいるってことは、程なく発車するんだろうと思って、後に並んだ。

ところがですね、これが大間違いで。
確かに程なくバスは来たけど、これだけの大人数を乗せるだけで結構時間はかかるし、ようやく発車したと思ったら、これが安全運転ののろのろバスで、関東なんとか病院とかいうところまで余計に遠回りしていくし、終点の美術館のバス停に着いたときには、すでに2時を回っている。
いやー、まずいなー、と思いつつ、急ぎ足で美術館に向かい、講演会場の講堂に着いたら、案の定、入場券は予定枚数終了、会場は締め切って入れません、という状況。
えー、もうダメなのー。えー。
と、ひたすら不満そうな顔をしていると、同じバスに乗ってきたとおぼしき客が何人も後からやってきて、おんなじようにブーブー言っている。
この不穏な様子を見た係員が、それじゃあ、通路で立見してもらうことになりますし、チケットもお渡しできませんが、それでもいいですか、と態度を軟化。
もちろんそれで結構です、ということで、ぼくを含む遅刻組数人のために座布団を用意してくれて、裏口から会場に進入、階段状になっている通路に陣取った。
このとき、ちょうど司会者が講師の巌谷氏の紹介を終えたところ。開始時間を過ぎてしまったから、講演の途中からかな、と思っていたら、ちゃんと頭から聞くことができました。
ここまでの反省点:
(1)時間は余裕をもって行きましょう。うちで生活笑百科を途中まで見てから出るのはよしましょう。
(2)時間がないからといって、用賀からバスに乗るのはやめましょう。元気と体力のある人は、美術館まで歩いて行きましょう。多分そのほうが早く着いた。
あと、本当は開演時間を過ぎてから到着したぼくらを中に入れてくれる義理はないわけで、そこを配慮してくれたスタッフの方の好意に感謝します。
ということで、次回は講演内容の覚え書きのこころだー!(予定)

投稿者 hiraking : 12:53 PM | コメント (0)

April 02, 2005

用賀から